データ活用の重要性が認識され、データを積極的に意思決定に活かそうとする企業が増加しています。しかし、データが各部署やシステム、個人にサイロ化している状況では、データを有効活用することはできません。さまざまなシステムから集めたデータを統合することで、企業はデータからさらに価値あるインサイトを引き出して効果的な意思決定を行い、新たな収益源を特定したり、オペレーションを最適化することができます。
本記事では、データ統合がもたらす10の利点について、実際の活用事例を交えて詳しく紹介します。
※本記事はCData US ブログ 10 Benefits of Data Integration (with Examples) の翻訳です。
データ統合とは?
データ統合は、企業が情報を効果的に管理・活用するためのバックボーンです。データドリブンで効果的な経営を実現する上では、意思決定と戦略立案を行う際に正確で包括的なデータを活用することが重要となってきます。その際、多様なシステムの情報を1つの一貫性のある形に統合することは極めて重要です。
データ統合システムを利用することで、企業はデータの持つポテンシャルを最大限に引き出し、実現可能なインサイトや戦略的インテリジェンスに昇華させることができます。プロセスを合理化し、データ分析やレポーティングの質を向上させ、よりアジャイルなビジネスの実現を支援します。
データ統合の重要性はそれだけにとどまりません。データ統合により、企業は業務や環境をより明確かつ一元的に可視化できるようになり、コラボレーションが促進され、ビジネスの競争力が高まります。
データ統合を実現する10のメリット
データ統合は、業務効率化、インサイトの創出、戦略的意思決定を推進する上で不可欠であり、企業に大きなメリットをもたらします。
1. 総合的なデータに基づく効果的な意思決定
データ統合は、部署・システムにサイロ化したさまざまな情報を集約して、1つの明確でまとまりのある姿に作り変えます。また、データ間の不一致を発見してギャップを埋めることが可能となり、より完全で信頼性の高いデータを迅速に生成することができます。
こうして関連するすべてのデータを一ヵ所に集約することで、意思決定者は、データが散在していたら見逃してしまうようなパターンや重要な詳細を把握することができます。このような総合的な視点は、自社ビジネスと市場をより明確に理解する際に役立ちます。
データに基づく意思決定に関するデータ統合の活用事例
MBA を始めとする社会人教育を推進するグロービス経営大学院様は、SQL Server、Salesforce、Marketo といった多様なシステムのデータをRedshift に統合、Tableau から活用することで全社的なデータ活用を実現されています。
グロービス経営大学院様の活用事例へ
2. データ品質と精度の向上
異なるシステムのデータを一箇所に統合することで、誤りや不整合を特定して修正することが容易になります。例えば、2つのデータベースが同じ事柄について異なる情報を持っている場合、データ統合のプロセスでこの不一致を特定して解消することができます。このプロセスはデータの整理とクリーニングにも役立ち、データが最新で適切なものであることを確実にします。結果としてデータの全体的な品質と精度が向上し、分析に対する信頼性が高まります。
データ品質の向上に関するデータ統合の活用事例
ある国際金融機関では、多くの支店やオンラインプラットフォームの顧客データを統合しています。この統合プロセスで顧客口座情報の不一致を特定してフラグを立て、より信頼性の高い財務報告を実現しています。
3. 業務効率の向上
データ統合は、情報の収集方法と利用方法をプロセス化することで業務効率を高めます。データはさまざまなシステム上にさまざまな形式で分散していることが多く、手作業で管理するのは困難になり得ます。そこで、データを1つのシステムに統合すればアクセスや分析、ガバナンスが容易で迅速になります。
このプロセスを自動化することで、作業スピードが落ちたり多くの仕事を生み出したりする原因となるヒューマンエラーも減らすことができます。異なるシステムからデータを収集、検証して、エラーチェックを行い、収集したデータを理解する、という時間が短縮されます。データ統合を自動化することで、企業は情報をただ収集するのではなく、活用することに注力できるようになります。
業務効率向上に関するデータ統合の活用事例
ある物流会社では、自動データ統合システムを実装して輸送スケジュール、倉庫在庫、顧客サービスのやり取りから情報を取得しています。これにより、手作業によるデータ入力の必要性が減少し、出荷のトラッキング処理がスピードアップし、顧客の問い合わせに対する応答時間が改善し、結果として全体の業務効率が向上しました。
4. BI ツールによるレポーティング・ダッシュボード品質の向上
ビジネスインテリジェンス(BI)ツール活用では、すべての情報を把握することが不可欠です。企業が収集するすべての情報を1つの包括的なシステムに集約して取り込むことで、統合されたデータによってレポーティングと分析、ダッシュボード構築を行うことが可能となります。
データが単一化されることで、現場の状況がより明確な形で把握できるようになり、傾向やパターン、注意が必要な領域を容易に突き止めることができるようになります。
すべての情報が集約されているため、リーダーやマネージャーは、さまざまなデータソースから断片的な情報を得るのではなく、データを包括的に把握した上でより効果的なな意思決定を行うことができます。
BI ツール活用に関するデータ統合の活用事例
日商エレクトロニクス様はCData Sync をデータ統合に採用し、自社のマーケティング、および営業部門のデマンドジェネレーション活動で日々利用しているMarketo とSalesforce のデータをデータマートに統合することで、横断的な分析が可能なKPI 管理を実現されました。
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5. データコンプライアンスとリスク管理の合理化
データセキュリティ、コンプライアンス、リスク管理を確実なものにするために、データ統合は重要な役割を果たします。企業は、PII(個人を特定できる情報)やその他の機密データを記録システムに保管した状態で、分析や意思決定に使用するデータを集めて標準化するデータ戦略を採用することができます。
個人情報の安全性が保たれるだけでなく、統合されたデータの検証も容易になるため、厳格なデータの取り扱いやプライバシーに関する法令に従う必要のある企業にとって特に重要です。機密データを保持しない一元化されたシステムを利用することで、企業はデータをより効果的に監視・管理し、潜在的なリスクを迅速に特定して対処することができます。これは法的な問題を回避するだけでなく、責任を持ってデータを取り扱うことで顧客やパートナーの信頼を維持することにもつながります。
コンプライアンス・リスク管理に関するデータ統合の活用事例
ある医療機関は、電子カルテ、検査結果、保険金請求などの患者データをネットワーク上で統合しています。これにより、すべての患者データの一貫性と最新性が確保され、HIPAA(医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律)などの医療規制に準拠しています。また、患者データのセキュリティとプライバシーを強化し、法的リスクやコンプライアンスリスクを軽減しています。
6. 顧客インサイトの強化
さまざまな顧客とのタッチポイントから得られるデータを統合することで、カスタマージャーニーを360度、包括的に把握することができます。営業、カスタマーサービス、 Web 上のアクティビティなど、複数のタッチポイントから得られるの顧客情報を統合することで、企業は顧客のニーズとウォンツをより深く理解することができます。
この知見を活用することで、よりパーソナライズされたサービスや商品を提供し、顧客の問い合わせにより効果的に対応し、顧客のニーズを予測することが可能になります。すべての顧客情報を一箇所に集約することで、企業は顧客とのやり取りを一貫性のあるものにして情報を得られるようになり、顧客は企業に理解され、尊重されていると感じ、結果として長期的な顧客関係を築くことにつながります。
顧客インサイト強化に関する活用事例
オーティファイ株式会社様は、AI を活用したソフトウェアテストの自動化ツール『Autify』をグローバルに展開するテックスタートアップです。
多くの顧客にAutify が採用されるなか、さらなるカスタマーサクセスの実現を目指し、プロダクトデータと顧客データをRedshift 上に統合するデータパイプライン処理をCData Sync で構築。カスタマーサクセスチームの成長に応じた「スケーラビリティ」、観測データを一カ所に集めた「オブザーバビリティ」、アクションと顧客の変化を記録する「トレーサビリティ」を実現されました。
オーティファイ様の活用事例へ
7. スケーラビリティ
ビジネスの成長に伴い、データも増加します。データ統合ツールは増加するデータ量やデータの複雑さに合わせて拡張できるため、ビジネスが成長してより多くの情報を扱うようになっても圧倒されることはありません。データは一元化されたシステムに統合され、ビジネスの成長に合わせて拡張・適応できるため、データサイロをやりくりする手間を省くことができます。統合によって、より多くのデータやより複雑なシナリオに容易に対応できる柔軟で一元化されたシステムが実現し、よりシンプルに業務を拡大して効率的に成長を管理することができます。
スケーラビリティに関する活用事例
急成長中のあるメディア企業は、ストリーミング、テレビ、デジタルメディアの各プラットフォームでコンテンツ制作を増やして視聴者データを収集しています。視聴率、オンラインエンゲージメント、サブスクリプション情報などの多様なデータソースを1つのシステムに統合することで、視聴者の嗜好や行動を包括的に理解することが可能となります。これにより、コンテンツ開発、広告、プラットフォーム管理に関する戦略的な意思決定を行い、市場動向に迅速に対応することができます。
8. データの民主化
データ統合によってさまざまな部門やチームのメンバーが必要なデータにアクセスできるようになり、企業全体でデータドリブンなコラボレーション文化が促進されます。IT の専門家だけでなく、ビジネスに携わるすべての人が重要な情報にアクセスできるようになります。
データが複数のシステムに分散しており、しかもアクセスできないようなことがある場合は、技術者ではない従業員が必要なデータにアクセスし、理解し、分析することは困難です。データを1つのアクセス可能な場所に統合することで、データチームは、従業員が日常的に使用しているツールでデータを活用して分析できるようにすることができます。より多くの従業員が日々の業務でデータを活用できるようになり、より良い意思決定、新しいアイデアの創出、ビジネスにおける現状把握が可能になります。
データの民主化に関する活用事例
ソフトウェア開発企業では、情報を共有し、さまざまな部門間でアクセスして使用できるようにする必要があります。データ統合により、企業は多様な情報を1つの使いやすいプラットフォームに集約することができます。従業員は、自らの業務がもたらす効果をより広く理解できるようになり、専門知識の有無にかかわらず誰もがデータを効果的に活用できる企業文化が醸成されます。
9. イノベーションと競争優位性
企業は、データ統合によって事業と市場について完全かつ最新の状況を把握できるようになり、イノベーションと競争の優位性を高めることができます。さまざまな分野のデータを組み合わせることで、新しいアイデアや改善につながる貴重なインサイトが得られます。
企業は、新たなトレンドを見極め、顧客のニーズをよりよく理解し、市場のギャップを見出すことで、新製品や新サービスの開発、既存製品の改善によるイノベーションを支援し、データを最大限に活用していない競合他社よりも優位に立つことができます。
イノベーションに関する活用事例
あるスマートホームデバイスを専門とするテック企業では、データ統合を実装して市場分析と製品開発へのアプローチを変革しました。販売データ、顧客からのフィードバック、オンラインレビュー、市場調査を1つのプラットフォームに統合することで、同社は音声制御のスマートホームセキュリティシステムに需要を見出し、このインサイトに基づいた新しい製品ラインのイノベーションにつなげました。その結果、新製品ラインの立ち上げが成功し、市場での地位を確固たるものにできました。
10. 業務プロセスの標準化
データ統合は、データ管理をよりスムーズかつ効率的なものにすることで、業務プロセスの標準化をサポートします。売上、在庫、カスタマーサービス、その他のデータを1つのシステムに統合することで、反復作業や手作業によるデータ入力の必要性が減少します。
この一元化されたシステムにより、さまざまな部門が現在の情報を簡単に共有してアクセスできるようになるため、より効果的に協力し合い、より迅速で十分な情報に基づいた意思決定を行うことができます。また、定型的な業務プロセスを自動化して調整することで、時間を節約し、人為的なエラーを減らすことができます。データ統合によって、業務が円滑に進められるようになり、時間とリソースをより重要な課題に費やすことができるようになります。
業務プロセスの標準化に関する活用事例
ある製造業メーカーは、サプライチェーン管理、リアルタイムの生産ライン指標、販売予測のデータを統合しています。このような包括的な視点によって、より効率的な在庫管理、無駄の削減、市場の需要に応じた生産計画の最適化が可能になり、コスト削減と収益性の向上につながっています。
おわりに:CData はデータ統合を強力に後押しします
CData は、データの可能性を最大限に引き出し、コラボレーションの強化・業務プロセスの標準化・データアクセスの民主化をサポートするデータ統合ツールを提供します。テクノロジー企業における製品開発の強化からネットワーク拡大における運用の一貫性の確保まで、CData はデータを戦略的な資産に変えるためのツールを提供します。
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