こんにちは、CData Software Japan パートナーサクセスの赤塚です。
今回は CData Software Advent Calendar 2023 5日目の記事として、11/27 - 12/1の5日間にわたってアメリカのラスベガスで開催された AWS 最大のイベント AWS re:Invent について、基調講演を中心にレポートいたします。
AWS re:Invent は2012年から行われている AWS 最大の学習型イベントで、今年で12回目の開催となり、個人的には6年ぶり4回目の参加となりました。
イベントの規模
2014年に初めて参加した際には会場がベネチアンというホテルのみで、参加者も数千人規模だったものが(それでもスケールの大きさに驚かされましたが)、現在ではストリップストリート沿いにいくつもの会場が分散し、参加者の規模も5万人以上と、当時の10倍以上もの規模になっています。
会場全体は2マイル(約3キロ)に渡って地下に敷設された専用の光ファイバーで繋がれており、参加者用に無料のシャトルバスも運行されています。
今回の目玉
毎年 AWS re:Invent に合わせて多くの新機能やアップデートの発表があり、今年も60を超える発表がありました。
中でも今回の目玉として注目されていたのが生成 AI への対応で、日々 OpenAI がニュースで騒がれる中、AWS がどのようなサービスを出してくるのか、個人的にも注目していたところ、11/29日 に行われた AWS の CEOである Adam Selipsky 氏の基調講演で早速発表が行われました。
冒頭で AWS の成長やパートナーシップについての紹介があった後、本題の AWS における生成 AI の話題では、構成するレイヤーを、インフラストラクチャ / ツール / アプリケーションの三層に分けて紹介していきました。
- インフラストラクチャ:NVIDIA社 との連携による GPU の強化
- ツール:「AI21 Labs」 や 「Anthropic」、「Cohere」、「Stability AI」などの基盤モデルを選択できるフルマネージドサービスである 「Amazon BedRock」 の強化
- アプリケーション:「Amazon CodeWhisperer」 の紹介と、re:Invent 2023の目玉とも言える「Amazon Q」のプレビュー公開
Amazon Q はビジネス向けの AI アシスタントで、以下の4つについて自然言語によるチャットでの支援を提供するものです。
AWS における AI 提供の特徴
AWS における AI 提供の特徴として特に強調されていた点は、セキュリティとプライバシーへの対応で、エンタープライズ企業でも安心して活用できるよう、顧客のデータへのアクセスの禁止など様々な取り組みが紹介されました。
また、ユーザー側でも AI による有害な出力結果を避け、企業のガイドラインに沿った運用を行えるように、「Guardrails for Amazon Bedrock」が発表されていました。
そしてこれらの取り組みの裏付けとして、ファイザー社における AI 活用の事例が紹介され、特に COVID-19 ワクチンの開発では、AWS から数万コアもの膨大な支援の結果、通常は8-10年かかる開発がわずか269日で行われたと説明があり、参加者から大きな歓声と拍手が送られていました。
データソースとゼロ ETL の強化
最後に、今後の生成 AI の活用に欠かせない要素として、データウェアハウスやデータレイク、データベースなどのデータソース関連の強化と、データ連携のハードルをなくすための取り組みとして ゼロ ETL の強化について紹介がありました。
ゼロ ETL やデータの重要性は Dr. Swami Sivasubramanian 氏と Dr. Werner Vogels 氏の基調講演でも重ねて強調されていて、ビジネスにおける生成 AI 活用の重要なポイントとして今後も様々な強化が期待されます。
Dr. Werner Vogels 氏の基調講演
生成 AI 以外のトピックとしては、 Dr. Werner Vogels 氏の基調講演で、The Frugal Architect (倹約的なアーキテクト) として、開発者に向けたメッセージが送られていました。
https://thefrugalarchitect.com/
Dr. Werner Vogels 氏の基調講演の中で一番印象に残ったのは、児童性的虐待の可能性のある数百万件のデジタルファイルを AI でスキャンしている非営利団体「Thorn」の データサイエンス部門責任者 Dr. Rebecca Portnoff 氏のメッセージでした。
同氏は不正なファイルをプロアクティブに検出するためのAPIベースのソリューション「Safer Essential」が AWS Marketplace で公開されたことを紹介し、以下のように訴えかけました。
「世界中には数え切れない被害者がいます。ここにいるあなた達がノートパソコンを開いて、彼らの必要とするものを作れば、この問題を解決できます。私たちと一緒に働きましょう。皆さんにはその力があります。」
この基調講演は冒頭と最後のムービーも見応えがあり、まだご覧になっていない方はぜひチェックしてみてください。
AWS re:Invent 2023 Keynotes | Amazon Web Services (awsevents.com)
以上が基調講演を中心としたレポートでした。
明日は CData Software Advent Calendar 2023 6日目の記事です。
お楽しみに
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