CData は世界をどう変えるんですか?

by Jonathan Hikita | 2023年12月24日

2023年もあと1週間です。2023年の仕事を終え、来期のことを考えることも形になってきているようなこの時ですが、自分の頭をリフレッシュさせるために昔に読んだり影響されたりしたコンテンツを見直したりすることにしています。

お気に入りのひとつが伝説のエバンジェリスト、ガイ・カワサキさん(Apple のエバンジェリストとしても、著者としても有名)のビデオです。「The Art of the Start」を見ていて、一番最初に来る「スタートアップで成功したければ、「make meaning, change the world(意味を見出せ、世界を変えるような)」が心に刺さりました。そういえば、会社を成長させる具体的な指示を出して自分でも忙しく手を動かす日々の中で、「CData は何の意味・意義があって、世界をどう変えていきたいの?」という大きな目標について語ったりする時間が減っていることに気づかされました。

今日の記事は一度原点に戻って、まだプロパー社員がグローバルで10名程度だったCData のころに考えたCData の意味・意義について皆さんに共有したいと思います。

データを使いたい人が一次ソースデータにアクセスできる

CData は、データを使いたい人がエンジニアであれビジネスサイドの人であれ、技術的な知識にかかわらず一次データソース(生のデータ)にアクセスできることを目指しています。データを扱うツールは何でもかまいません。Microsoft Excel でも、Tableau やPower BI でも、BigQuery などのデータウェアハウス(DWH)に一度データを落としてでも、A5 MkII やDBeaver のようなクエリツールでも、R でもPython でもかまいません。しかし、現実はSaaS に分散してしまったデータ、コネクタの不在とAPI の技術的な壁、組織のデータマネジメントの壁などの阻害要因によって、使いたいデータには触れないことがほとんどです。その壁を壊すものがCData のコネクタです。

生データに触る必要性

データ活用・データ分析は、高度化していますが、企業で必要とされるデータ分析の基本の基本は実は変わっていません。

  1. なにがどういう要因で起こったのかを知る(生データが必須)
  2. 要因を知ることで次のアクションを選べる
  3. アクションを起こす際に精度の高い計画を立てられる

その中でも「何がどういう要因で起こったのかを知る」は一番重要です。要因がわかれば施策としてアクションに落とせますし、要因を分割する方法を身に付ければ、それを逆にたどって使えば、精度の高い計画を立てることができますし、検証が可能です。

生データを触るようになったごく個人的な経験

自分の企業の計数屋さんとしての経験・体験からこの基本の基本を手触り感のある形でお話します。私はもともとメガバンクで数字を扱う業務をしていました。インドネシアジャカルタ駐在の頃に「支店内の本社向けの業績報告」と「インドネシア中銀向けの中期計画・報告」という業務の担当でした。

大企業の数字報告の肝は、ウォーターフォールチャートです。正しい数字を報告することは当然であって、その内訳、計画比、前年同期比、着地見込みなどが入ったスプレッドシートは報告の形態として存在します。ただし、それだけでは計数屋さんとしては、不足です。考えてみてください。大企業では前年比5%増加とか、伸びているセグメントでも20%増加という目標数字を負っています。それで最終的に「前年比5%増加のところ、4.7%増加で着地です。要因は数件取れた新規先です。」という報告をしても誰も幸せになりません。拠点マネジメントからすれば「これだけのマイナス要因を打ち返した施策の反映はどうなる?」既存先の担当(こっちが多い)からは「既存先から継続してビジネスを得ることがどれだけ大変か知らんのか!」などなど非難ゴウゴウ。このダウン要因からの頭脳と汗のたまものであるプラス施策のストーリーを見せることこそが計数屋さんの本業と言えるでしょう。まだ20代の何も知らない私は、一つ一つの訴えを聞き、「施策効果をどうやって数字に反映するのか」を学びました。

いわゆるウォーターフォールチャート

ウォーターフォールチャートをどうやって作るかというと、まずは売上などの業務の数字を割って割って割りまくります。ボリュームと利率(単価)、通貨別、既存顧客・新規顧客、担当者別、顧客の業界別、商品別、といった分析カットでドンドン割っていきます。「分析とは分割と比較」ということです。分割して変化を見つけて、変化が大きいところが収益にどうインパクトを与えているかを調べます。この変化が引き起こした収益インパクト=施策効果となります。この複数の分析のカットの施策効果を、より合わせて一つの見せ方にしたものがウォータフォールチャートになります。

しかし、新しい分析カットを使おうとすると既存のレポートやデータマートにはデータが存在しないことに気づきます。そこで生データまで降りていく必要が必ず出てきます。「生データまで降りていくことで、はじめてその企業・組織で使えるデータを充分に使っている」と言えます。そもそも既存のレポートやデータマート・カタログは過去の誰かがその時に見せたい施策効果をだせるように恣意的に作ったものです。ビジネスの変化が激しい現在では、誰かが作った加工されたデータを使っているだけでは不十分というわけです。さらにLead 数やマーケティング指標などのファネルの予測指標を取りに行くことも必要になるでしょう。

でもデータへのアクセスには壁がたくさん

データ、中でも生データへのアクセスが大事ということを長々と書いてしまいましたが、その大切なデータにアクセスすることが難しいのです。以前は企業内に基幹システムがあり、適切な権限と許可を得れば、データを取得することは可能でした。しかし、現在ではデータは複数のSaaS に分散してしまっていて「データがどこにあるのかわからない」という状況です。それらのデータを取得して使おうにも自分が使いたい分析ツールに専用のコネクタがなく、エンジニアがデータを取得・変換してくれなければ使うことができません。社内のエンジニアはAPI でのデータ取得となると難易度が上がってしまい、工数がかかる。しかも1データソースでなく、複数データソースのデータが必要でそれぞれAPI が異なります。

CData のコネクタが問題を解決

そこで、Excel であれ、BI ツールであれ、ビジネスユーザー・エンジニアを問わず、複数のSaaS のデータにアクセスすることを実現するものがCData です。ツール側が扱いやすいODBC やJDBC といったテクノロジーでSQL に統一されたデータクエリを実現することで、「権限さえあれば誰でもデータにアクセスできる」という理想をかなえることができます。ちなみに、今どきのSaaS のAPI の権限はポジティブセキュリティモデル(最初から必要な権限しか与えない)なので、間にデータ保管を行わず自分の権限が透過されてデータ取得できる点でも権限の壁も超えやすい仕組みです。

CData のコネクタの仕組み

私が今でも大企業の計数担当であったなら、CData のコネクタは必ずほしいツールです。自分がユーザーペルソナのど真ん中だからこそ、熱意をもってこのツールを手を動かすユーザーに届けたいと思います。日本・世界のデータユーザーよ、データ取得はCData にまかせて、データから価値を生む分析作業や施策とのすり合わせ作業にこそ時間を使ってください。

データはパワーだ!

20代のころ社内の皆さんに小突かれて施策効果マスターになった私は、そのあと計画立案や効果検証などの機会にかならず呼ばれる人になりました。「こいつが一番データを持っている」という理由でしたが、そのうち頭の中で収益を構成する要素がつながってきて、「管理できる施策を立てられる人」というポジションになります。最終的には支店のノンオーガニック戦略立案を行いました。データなしではただの意見、データがあれば下っ端でも組織を動かすことができます。データはパワー・権力なんだなぁ、と。

逆に一次データソースに触れない経営やマネージャは操り人形です。部下から出てきたデータのみを信じて一次データへのアクセス方法・使い方を忘れた結果が、今の不正だらけの企業群でしょう。

この話を読んで「古臭いな」という印象を持たれる方も多いと思います。しかし、SaaS スタートアップのサブスクリプションビジネスの管理指標、今流行のAI を使ったスコアリングや、デジタルデータをつかった自動化された適切なカスタマイズメッセージ送信みたいなものもベースで持っている原理は同じ「なにがインパクトを与える要因か?」というものです。SaaS・サブスクビジネスが類似するために統一的な指標があるだけでやっていることは要因のカットです。AI でのスコアリングも過去に人間がやってきた判断を1件1件のリードに対して行うということ、自動化されたマーケティングやセールスプロセスも同様です。「分けて比較する」というデータ分析の基本はまったく変わりません。

どんなチームでそれを実現したいか

意義・意味があってもそれを実現するチームがなければプロダクトを世に届けることはできません。CData のチームでは「自動化は我々の遺伝子に組み込まれた資質」「手を動かすエンジニア・スタッフが報われるチーム」を重視しています。

自動化は我々の遺伝子に組み込まれた資質

CData は、270種類以上のデータソースに標準テクノロジーから接続するという手間のかかる作業をパッケージ化することで成り立っています。製品の中では、SQL クエリを複数のサービスのAPI リクエストに一つ一つマッピングすることを行っています。別の言い方をすれば、ユーザーが1社1社で行っている手間のかかる作業をCData が圧倒的に効率的に提供することで、ユーザーが自社で実装するよりも圧倒的に低いコストでデータアクセスが実現できなくてはなりません。

これらの多くの対応API の幅広いエンドポイントに対するクエリを製品として高品質に維持するには、標準化・自動化が必須です。そのため、徹底して繰り返し作業を一般化してくくり出し、共通部品・共通プロセスを最大限増やすことを行っています。良い意味で「Be Lazy」になり、「人はクリエイティブに、繰り返し作業は自動化」を目指します。

手を動かすエンジニア・スタッフが報われるチーム

私たちCData の製品を使う方は、エンジニアであり、手を動かしてデータを触るような人たちです。製品自体が戦略レベルではなく戦術レベルの製品です。データを使ってユーザー企業が何を実現すればいいかということについてコンサルティングやデリバリーを行う会社ではありません。私たちが語り掛けるユーザーは、実際に現場でデータにアクセスしたくて困っている方、もしくはツールベンダーでデータ連携機能を内包してユーザーの手間を引き取ろうとしている方です(残念ながら、社長に「CData いいらしいから検討して」とは言ってもらえず、現場から「CData 使っていいですか」でしょう)。

ユーザーの方々が現場で手を動かす方々であれば、エンジニアが虐げられている企業の作ったものを買って使いたいでしょうか?私は、そうは思いません。データを使うこと、自動化をすすめることで、ミドルマネジメントを薄くし、価値を生み出すエンジニアや現場のスタッフが報われるような組織運営ができます。情報はオープン、データで語る、自動化する、製品コンセプトとして正しいかを問う、社内政治を取り除く、丸投げをしない、といったベースとなる取り組みを続けています(前に書いた記事:非エンジニアのマネージャがエンジニアチームと上手くやる方法)。

実際にスタートアップ界隈のエンジニアさんというのは「3人で世界を変えられる」と信じるとんでもなくスマートでパワフルな方々です。エンジニアリングの力で生まれる製品を扱っているわけで、彼らが良い環境で仕事をしてくれることが会社にとって一番なのです。本社のCxO が全員製品開発・サポートエンジニア出身メンバーということもあり、かなりエンジニアに偏った組織になっています。日本でもテックディレクター、リードエンジニアをはじめエンジニアには本当に恵まれたチームです。

逆に製品を触らないとか、コンセプトだけ考えて外注(外注でしか実現できない)という人、エンジニアさんを尊重することを理解していないにとっては厳しいところです。「ここにマニュアルあるし、環境はここね」、「疋田さん、ログぐらい見てください。」というテクハラまがいのことは、普通に横行しています。大変結構なことです。

脱常識、仙台に日本本社な社会インパクト

CData Software Japan は日本拠点が所在します。日本立ち上げの際に、「拠点は東京かな」と私が言ったところ、CData のファウンダーに「なんで東京なの?」と聞かれました。IT 企業や外資はステータスのためなのかなんなのか東京に日本拠点を構えることに疑いを覚えていない自分が変なんだと気づかされました。CData の場合は、CData を見つけてくれる人も導入決定者もエンジニアやデータに触る人ということで、彼らは基本的に営業を求めていません。Web 上に有益な(実現したいことのドンピシャ)情報があること、トライアルができること、日本語での高品質なテクニカルサポートが受けられることがマーケティングとして重要だということを頭の中でまとめて、東京よりも自分の出身地である仙台拠点のほうがいいぞ、と思いなおしました。

仙台は気候がよく、杜の都といわれるぐらい自然が豊かです。おいしいお米、三陸の豊富な海の幸、スキー場に30分、海までも30分と充実した環境。都市の規模もよく教育もお受験不要だが高レベルの公立。東北大を中心に大学も多く、U ターン希望者が潜在的に多いが、プロダクト企業がすごく少ない。よいエンジニアを引き付けて、良い環境で仕事がしてもらえるぞ、と。

脱常識をはじめたら、社会がありたい方向に舵をきれるようになった

拠点を東京に置かないという脱常識の判断をすると、全く別のビジネスモデルが見えてきます。「未来の社会はこうあったらいいな」という方向とCData の製品・ユーザーとの関係で許される範囲で、なんでもやっちゃえというモメンタムが出てきました。コロナ前からユーザーとは対面営業を行わずに、メールベースのサポートと記事での情報提供に力をいれてきました。一つのサポートリクエストも、記事にしておけば、ユーザーも楽、次回からの手間がはぶけますし、Web 上でリードを長く生み出してN 倍化できます。代理店には消極的でインターネットの時代ならではの直販とリーチできないところにはOEM パートナーに製品提供をしてもらうビジネスも確立することができました。採用はコミュニティで知り合った方か、自分で求職者データベースを検索できるビズリーチが中心(データベースを直接さわるの好きだし)。とはいえ別にアンチ東京ということではなく、エンジニアの勉強会は首都圏のものに参加するほうがメンバーに多様性があっていいし、OEM パートナー宛にはF2F のお付き合いもしています。東京のいいとこ取りという感じです。

まとめ

「データはパワー、一次データソースに触れるようにしたい」という意義をコネクタで実現するCData です。私が大企業でデータを触っていたころより、データ活用の重要性はさらに認識されましたが、データ活用のハードルは上がっています。SaaS が増加し、リアルタイムに近いデータを使いたい企業が多い中、CData のコネクタの価値はますまず高まってくると感じています。CData は、引き続きこんな世界を実現するためにがんばります。

この「顧客」、「チーム」、「社会」という順番で会社の意義・意味を考えていく方法はいかがでしたか?みなさんも是非、年の瀬に自分が世界に与えたい価値について考えてみてはどうでしょうか?

本記事はCData Advent Calendar 2023 の25日目の記事です。

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