ハイブリッドクラウド戦略構築のための7つのステップ

ハイブリッドクラウド戦略の構築は容易なことではありません。ハイブリッドクラウドは2つ以上のコンピューティング環境のリソースやサービスを混在させて共有するため、データの移動、共有、同期を調整する統合機能とオーケストレーション機能に依存しています。また、仮想化技術、コンテナ技術、ネットワーキング技術、ストレージ技術を取り入れることで、ハイブリッドクラウドの設計にさらに多くの要素を加えることができます。

※本記事はCData US ブログ 7 Steps to Creating a Hybrid Cloud Strategy の翻訳です。 

ハイブリッドクラウドの導入を成功に導くには、導入の策定が非常に重要です。では、ハイブリッドクラウド戦略の策定に必要なものとは何でしょうか?考慮すべき要素は多数あり、以下の7つのステップが含まれます。

1. 要件を決める

IT チームは、次のようないくつかの要素を考慮する必要があります。

  • サポートが必要なワークロード
  • 予想されるトラフィック量
  • データのセキュリティおよびコンプライアンス要件

パブリッククラウドとプライベートクラウドの適切な組み合わせを選択するためには、これらの意味を理解する必要があります。

2. クラウドプロバイダーを選ぶ

要件は、どのパブリッククラウドプロバイダーが最もニーズに応えられるかについてのインサイトを提供します。信頼性、セキュリティ、サポートだけでなく、価格についても検討したいところです。

クラウドの価格設定はわかりにくいものです。さまざまなベンダー間で価格を比較すると、価格設定の選択肢が迷路のように広がることがよくあります。“ビッグ 3”と呼ばれるクラウドベンダー(Amazon、Microsoft Azure、Google)は、コンピューティング、ストレージ、AI / ML サービスにわたる消費量や段階的な価格設定に応じたさまざまなプランを提供しています。ビッグ3ベンダーは長期契約を必要としませんが、クラウドからデータを移動する際ユーザーに請求する料金であるエグレス料金には注意を払う必要があります。

3. ネットワークをデザインする

ハイブリッドクラウドでは、ネットワーク設計によってパブリッククラウドとプライベートクラウドが接続されます。強力なネットワーキングは、あらゆるハイブリッドクラウド展開モデルの基礎となるものです。

計画にあたっては、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、仮想プライベートネットワーク、API など、相互接続のオプションを評価する必要があります。また、これらの領域でのテクノロジーの好みが、帯域幅、遅延、パフォーマンス、およびセキュリティにどのように影響するかを評価して、ニーズを満たすネットワーク設計を策定することも必要になります。

リソースを割り当て、さまざまな環境へのプロビジョニングを可能にする専用の管理ソフトウェア、データ統合および管理ソフトウェア、データ分析ツールなど、さまざまなツールがハイブリッドクラウドに不可欠です。

  • データ統合:データ形式の違いによりデータの統合は十分に困難ですが、データによってはさまざまなストレージリポジトリから移動され、異なるセキュリティプロトコルの影響を受ける可能性があります。さらに、データの品質を維持することも重要です。データ統合戦略には、データの重複排除を保証し、正確性、完全性、一貫性、再利用性を実現する機能を備えたツールを導入する必要があります。
  • データセキュリティ:ハイブリッドクラウドアーキテクチャは、適切に保護されていない場合に脆弱性が生じます。データは、システム間の転送中や複数の場所に保管されている場合に危険にさらされる可能性があります。最も機密性の高いデータを保護するために、暗号化、アクセス制御、監査などのセキュリティ対策を採用することを検討してください。
  • データレイテンシ:データの遅延は、パフォーマンスだけでなくユーザーエクスペリエンスにも影響します。データの可用性を確保し、レイテンシを低減するために、リアルタイムのデータ処理および分析ツールの使用を検討してください。
  • データ分析:高度な分析は、ほぼすべての種類のデータからインサイトを引き出します。複数データソースからの大量のデータを分析できるデータ分析ツールと、すべてのデータ利用者に分析結果を提示するためのデータ可視化ツールを選択してください。

4. セキュリティの優先順位を決める

ハイブリッドクラウドの導入において、特に機密データを扱う場合、セキュリティは基本要素です。セキュリティ対策がすべてのクラウドプラットフォームで一貫していること、およびデータが転送中と保管中の両方で暗号化されていることを確認してください。また、以下のようなセキュリティに関する考慮事項についても評価する必要があります。

  • アイデンティティとアクセス管理:複数のクラウド環境におけるユーザーID や権限の管理は複雑になりがちです。統一されたID およびアクセス管理システムにより、ユーザーは必要なときにリソースにアクセスできるようになります。
  • ネットワークセキュリティ:プライベートクラウド環境とパブリッククラウド環境にまたがるネットワークのセキュリティは重要です。セキュリティに役立つ機能には、ファイアウォール、侵入検知・防止システム、仮想プライベートネットワーク(VPN)接続などが含まれます。
  • データの暗号化:暗号化プロトコルは、転送中および保存されたデータを保護することができます。データ転送にはSSL / TLS プロトコルを使用し、クラウドに保存されたデータを暗号化することを検討してください。
  • ディザスタリカバリー / ビジネスコンティニュイティ:ほとんどのネットワークは、障害に対して脆弱です。ディザスタリカバリープランは、停電や予期せぬ障害が発生した場合に、重要なデータやサービスを迅速に復旧するために機能します。

5. ワークロードを戦略的に配置する

どのワークロードをどのクラウドで実行するかを決定するのは難しいことです。このような決定を下す際、IT チームはコスト、パフォーマンス、コンプライアンス、セキュリティなどの要素を考慮するだけでなく、以下のような多くの潜在的影響にも配慮が必要です:

  • アプリケーションのアーキテクチャ:ハイブリッドクラウドのスケーラビリティと可用性の利点を活かすために、マイクロサービスベースのアーキテクチャで構築されたアプリケーションでは、よりきめ細かいワークロード管理が必要になる場合があります。
  • ワークロードの種類:ビッグデータ解析、科学的シミュレーション、および機械学習アプリケーションのワークロードは、より多くの処理能力、ストレージ、メモリが必要になる場合があります。
  • トラフィック量:ワークロードによっては、大量のトラフィックが発生するため、指定されたSLA を満たすパフォーマンスを確保するために、よりスケーラブルで分散型のハイブリッドクラウドアーキテクチャが必要になります。例としては、利用が集中する時間帯のEC サイト、IoT データストリーム、クライアント-サーバー間で常時通信が必要なオンラインゲームアプリケーションなどが挙げられます。
  • データの機密性:前述のように、機密性の高いデータはより安全なプライベートクラウド環境を必要とする場合があります。一方、機密性の低いデータのワークロードはパブリッククラウドに向けることができます。
  • 法規制の遵守:一部の機密データの取り扱いは規制される場合があります。IT チームは、HIPAA、GDPR、PCI DSS などのさまざまな規制がハイブリッドクラウドアーキテクチャに与える影響を考慮する必要があります。
  • 包括的なビジネス目標:コスト最適化を優先してパブリッククラウドのリソースを活用する企業もあれば、データのプライバシーおよびセキュリティを優先して、より多くのワークロードをプライベートクラウドの実装に向ける企業もあります。

6. ガバナンスポリシーを考える

エンドユーザーがアクセスするデータを管理する上で、ガバナンスの重要性を認識する企業が増えています。モニタリング、バックアップおよびリカバリー、コンプライアンス、パフォーマンスの最適化などに対応するためのポリシーを確立したいものです。

オンプレミスとクラウドの複数の地域やさまざまな場所にデータを保存すると、一貫性のないデータ保持ポリシー、異なるデータプライバシー規制、異なるデータ分類スキームなど、データガバナンスの課題が生じます。法律や規制の要件を満たすためにデータガバナンスのアプローチを標準化し、データのライフサイクル管理に対応するデータ管理ポリシーを作成してください。

7. トレーニングを忘れずに

この新しいハイブリッドクラウド環境を管理・サポートするためのチームのトレーニングも忘れてはいけません。ネットワーク全体の設計、導入したクラウドプラットフォーム、セキュリティ対策、ワークロードの配置、管理とガバナンスポリシーに対応する専任スタッフを確保してください。

ハイブリッドクラウドを成功させるポイント

企業は、ハイブリッドクラウド戦略をうまく導入することで多くのメリットを得ることができます。しかしながら、ハイブリッドモデルを効果的かつ効率的に確保・管理できない場合は、企業はブランドと競争上の地位を危険にさらすことになります。

データ統合ツールがハイブリッドクラウドモデルに与える影響について、すぐにでも考えてみてください。データ統合は、ハイブリッドクラウド戦略全体の重要な要素です。多くの異なるデータソースやターゲットに接続し、転送中および保存されたデータのデータ変換をサポートするETL やELT 機能を実装したいと思うことでしょう。

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