こんにちは。CData Software Japan の色川です。
先日、CData Arc の2022 Q3 リリースとして新しいビルドの提供を開始しました。今回の四半期リリースではSnowflake など新たなネイティブコネクタの追加とともに、エンタープライズ向けの強力な新機能が加わっています。なかでも「Global Settings Vault」は、連携フローを多数作成頂いているケースで大きな利便を感じていただけると思います。
この記事では、CData Arc 2022 Q3 リリースの主な新機能についてご紹介します。
Global Settings Vault
接続設定で使用する名称や値など、複数のフローやコネクタで共通的に同じ値を設定・利用したいケースは多いと思います。これまでもCData Arc の中で数多くの連携フローを利用頂いているお客様からは、この機能に期待頂く声が多くありました。従来のCData Arc でじゃ
Settings.cfg が近い機能として利用頂けましたが、機能性や使用感など制約や課題もありました。
Global Settings Vault では、CData Arc のWeb コンソール全体で再利用できる値を柔軟に設定および管理することができます。この機能を利用頂くことで、特定の値を再利用したいときのコネクタ構成に費やす時間を節約し、同時に無用な設定ミスなどを防ぐことができます。
Global Settings Vault は、設定メニューからアクセスすることができます。
またコネクタのVault に対応したフィールドから「Add to Vault」で新しくVault アイテムを追加することも可能です。
Global Settings Vault のアイテムにはURL やユーザー名など、機密を必要としないフィールドで使用する標準タイプと、パスワードや認証トークンのような機密を必要とするフィールドで使用する暗号化タイプが用意されています。
それぞれのVault アイテムには任意にタグ付けをすることができるので、Vault アイテムを数多く利用する場合に役立ちます。
また、CData Arc はノーコードでデータ統合の複雑なユースケースを処理できるようにデザインされていますが、個社固有のビジネスロジックなど一部のエッジケースで活用できる強力なスクリプト言語であるArcScript を備えているのも大きな特長の1つです。Global Settings Vault のアイテムは、このArcScript からも利用することができます。
v21 で導入された「共有接続」機能と併せて、同じデータソースを対象に複数のデータフローを構成するときの開発生産性、維持運用性に大きく役立つ機能になっています。ぜひ試してみてください。
Batch Group コネクタ(Create/Merge/Split)
CData Arc では、処理に関するメタデータを示すヘッダと処理対象のデータをボディとしたMessage の形で連携フローを流れていきます。
v21 で複数のMessage を1つの処理グループにまとめる概念としてバッチグループ(Batch Group)が導入されました。これにより、複数の注文書(データ)を一括処理したい場面などにおいて、複数のMessage を1つの処理グループとしてまとめてコネクタに渡す事ができるようになりました。
v21 ではバッチグループ(Batch Group)の活用は限られていましたが、今回のリリースで、このバッチグループ(Batch Group)をフローの中で作成・マージ・分割するコネクタが新たに追加されました。
新たに搭載されたそれぞれのBatch Group コネクタにより、フローの中で複数の関連するMessage を一括処理できるようにまとめたり、処理後に分割したり、と柔軟な構成を実現することができるようになりました。ぜひ試してみてください。
なお、1つのMessage の中に複数のレコードをまとめる機構に対して使われていたバッチ化とは概念が異なりますので、ご留意ください。1つのMessage の中に複数のレコードをまとめるバッチ化についてはこちらの記事が参考にして頂けます。
Web コンソールのLook & Feel
このトピックの1つ1つは大きな新機能と言う訳ではありませんが、普段利用頂くWeb コンソールの改善ポイントもご紹介しておきます。
CData Arc は進化を続けており、ネイティブコネクタも100 を超える数に成長してきました。使いたいコネクタをスマートに利用するためのナビゲーションの1つとして、コネクタパネルに検索ウィンドウが追加されました。
また、今回のリリースでは、UI ライブラリのバージョンが新しくなり、より見やすいLook & Feel になっています。フローデザイナーなど普段から触れることの多いWeb コンソールの見やすさはとても重要ですよね。より見やすく手触りの良いWeb コンソールになっていますので、ぜひ新しいCData Arc を試してみてください。
フローAPI
こちらは前回のリリースでご紹介した新機能ですが、非常に多くの関心を頂いている機能ですので、今回の記事でもご紹介しておきます。
CData Arc で作成したフローを外部から利用するための新しい機構としてv22 から「フローAPI」機能が加わりました。「フローAPI」機能を使うと、モジュール化されたシングルパスのArc フローを作成して、クエリ可能なエンドポイントとして公開することができます。
Arc はフローAPI のエンドポイントに渡されたデータを処理して、その結果をクエリしてきたサービスに返します。つまり、外部のアプリケーションやサービスからArc で作成したB2B ワークフローを実行することができるわけです。この機能を使えば、いま既に利用している運用管理ソフトウェアなどから、Arc のフローと自動化を管理することができます。
作成した「フローAPI」をテストする機能も備えています。
フローAPI は、入力メッセージ1件に対して出力メッセージが1件となるように構成する必要があります。そのためスケジュールや外部処理に基づいてファイルを処理するタイプのコネクタはフローAPI では現在サポートされていません。フローAPI でサポートしていないコネクタは、こちらで確認できます。
「フローAPI」の登場で、Arc で作成したフローを外部から利用するシーンに対応しやすくなりました。CData Arc がエンドポイントを提供する類の機能は、他にも幾つかありますので、簡単にご紹介しておきます。
「
API コネクタ」は、指定したデータベース系データソースからテーブル、ビュー、およびストアドプロシージャをWeb API として公開できるコネクタです。概念的には、
CData API Server のサブセットと考えると分かりやすいかも知れません。複数のSaaS やアプリケーションから連携・統合してデータベースに格納する & 格納データセットをWeb API として公開する、CData Arc ならこの流れを無理なくシンプルに実現することができます。
「
Webhook コネクタ」は、Webhook を受信するためのエンドポイントの公開をサポートします。Webhook コネクタを使えば、外部のクライアントがXML やJSON のペイロードを送信できるエンドポイントを公開することができます。
Webhook コネクタに渡されたXML やJSON のペイロードはArc フローの出力ファイルとして書き込まれ、フロー内の接続されたコネクタに渡されます。Webhook 送信機能があるSaaS とイベント発生時のWebhook で連携したい、こういったシーンではWebhook コネクタが便利です。
「
管理API」は、Arc に組み込まれた管理用のAPI です。Arc のWeb コンソール(Web UI)で実現できることの多くはRESTful な管理API 呼び出しによっても実現できます。Arc はモダンで使いやすいWeb コンソールを提供していますが、開発しているサービスのバックエンドの連携エンジンとしてArc を使いたい、など「連携フローの作成や設定、実行や運用管理などをWeb コンソールを通じたマニュアル操作でなくAPI で自動化したい」、こういったシーンでは管理API が便利です。
連携フローをエンドポイントとして公開・利用したいケースをお考えの方は、ぜひ試してみてください。
新しく追加されたアプリケーションコネクタ(β)
今回のリリースでもSnowflake など、多くのアプリケーションコネクタが新しくネイティブコネクタとして加わりました。これらのコネクタは現在βリリースです。
それぞれのデータソースとの連携シナリオは、このBlog で順次ご紹介していく予定です。
新しく追加されたコネクタ(フルリリース)
これまでβリリースとして提供されていたNetSuite やAmazon Marketplace コネクタなど、6つのコネクタが今回フルリリースされました。
おわりに
この記事では、Data Arc 2022 Q3 リリースの主な新機能についてご紹介しました。
ビジネスを取り巻く状況の変化は加速度を増しており、適切な意思決定や業務遂行に必要なデータの統合や連携も、変化に応じたスピード感での対応を求められていると思います。とかく複雑になりがちなB2B 連携をもっとシンプルに実現するために、CData Arc は進化を続けています。
より使いやすくなったCData Arc をぜひ試してみてください。
リリースされた新バージョンに限らず、今ご利用されているバージョンについても、設定や利用方法などご不明な点があれば、お気軽にテクニカルサポートまでお問い合わせください。
この記事では CData Arc™ 2022 - 22.0.8336.0 を利用しています。
関連コンテンツ