Sales Ops(セールスオペレーション) は、近年注目を集めている縁の下の力持ち的な機能です。Sales Ops チームはデータとセールスの架け橋となり、リードの管理、営業戦略の立案、セールスプロセスの継続的改善、そしてこうした業務に必要なデータ分析とレポート作成など、営業活動をより効果的にするための役割を担う存在です。そして、業務データを正しく活用することができなければ、Sales Ops は成り立ちません。
課題:企業が利用するSaaS の増加とデータのサイロ化
企業ではビジネス部門においてもさまざまなテックツールやSaaS の導入が進み、業務のデジタル化、プロセス化が急速に進んでいます。1つのソリューションであらゆるニーズに対応しようとする「one size fits all」ではなく、各チームがニーズに合わせてCRM、ERP、MarTech(マーテック)、会計サービスなど目的に最適化されたSaaS を導入する方法が一般的になってきています。
各業務に最適化されたサービスを使うことができれば業務効率化の点で大きなメリットがありますが、一方で利用するソリューションが増ることでデータ統合の負荷が増加してしまっています。Sales Ops では、さまざまなサービスにデータが分断・サイロ化することで、多角的な情報を考慮した完全な顧客像を構築することは難しくなります。
本記事ではCData のコネクティビティソリューションを活用して、チーム・部門間でさまざまなサービスを利用している場合でも、顧客の自社との最初のタッチポイントから契約更新にいたるまでのカスタマージャーニーにおける顧客の360°ビューを構築する方法をご紹介します。この記事では例としてCRM(Salesforce)と会計サービス(freee)のデータを統合してデータウェアハウス(Snowflake)に同期するシナリオを紹介します。CData 製品は250を超えるデータソースに対応しており、ご利用のニーズに合わせてあらゆるデータに接続してお好みのデータベース、DWH、データレイクにデータを同期することができます。
例:CData Sync を使ってCustomer 360 を実現
CData Sync はSales Ops 関連データ(この記事ではSalesforce とfreee)をお好みのデータベース、データウェアハウス(DWH)、データレイクに継続的に同期・統合できるモダンなデータ統合ツールです。さまざまなサービスのデータを統合することで、Sales Ops チームは多角的な視点から顧客データを分析して、どのように顧客にアプローチするのかデータドリブンな意思決定を行うことができます。
1. Salesforce、freee、Snowflake に接続
CData Sync で、Salesforce、freee、Snowflake への接続を作成していきます。
Salesforce、freee、Snowflake への接続に必要なクレデンシャル(認証情報)は以下です:
- Salesforce:セキュリティトークンを作成する必要があります。方法はこちらの記事をご覧ください。
- freee:OAuth アクセストークンの取得が必要になります。公式のこちらの記事が丁寧です。
- Snowflake:接続には以下の情報が必要となります。パスワード以外の情報はSnowflake のコンソールから確認できます。
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- ユーザー名
- パスワード
- アカウントURL
- 使用するデータベース名
- 使用するウェアハウス名
- 使用するスキーマ名
CData Sync の「接続」タブから各サービスへの接続を追加します。
Salesforce への接続
freee への接続
Snowflake への接続
2. Sales Ops データをエクスポート
顧客の360°ビューを構築するために、本記事ではSalesforce の取引先(Account)、取引先責任者(Contact)、商談(Opportunity)のデータとfreee の請求書(Invoices)、取引(Deals)のデータを取得します。Salesforce とfreee のようなCRM と会計サービスのデータを統合するだけでも、例えば、会計サービスが持つ与信枠や売掛金残高のデータとCRM が持つ顧客情報を統合してダッシュボード化することで、セールスサイドは顧客の与信管理を容易に行えるようになります。
実際にデータを同期するには、CData Sync の「ジョブ」タブに移動して新しいジョブを2つ作成します。1つはデータソースがSalesforce で同期先がSnowflake、もう1つはデータソースがfreee で同期先は同じくSnowflake に設定します(下図)。
Salesforce のレプリケーションジョブを設定
まずは、同期(レプリケーション)したいエンティティ(CData Sync ではテーブル)を選択します。すべてのフィールドを同期する必要はないので、ジョブ設定の「テーブルを追加」ボタンから自分が必要なフィールドだけを選択しましょう。
ここで同期するテーブルは、後でfreee のデータと組み合わせてビューを作成するために使うステージングテーブルとして使用したいので、同期先には新しいテーブルを作成して、そのテーブルにレプリケーションを行います。新しいテーブルへのレプリケーションは、以下の図のように「ジョブ設定」からテーブル名をクリックして表示できる「タスク設定」から可能です。「同期先テーブル情報」内の「テーブル名」から「新規テーブルを作成」選択して、任意のテーブル名を入力します。
CData Sync ではSalesforce を含む
多くのサービスで差分更新が利用できるので、レプリケーションジョブの実行毎にテーブル内のデータの全件洗い替えは必要ありません。レプリケートするテーブルを選択して同期先に新しいテーブルを作成したら、「実行」ボタンから手動でジョブを実行、または「スケジュール」タブから自動実行を設定できます。
freee のレプリケーションジョブを設定
Salesforce の場合と同様に、同期したいテーブルを選択して新規テーブルの作成の設定をします(ただし、freee では差分更新には対応していません)。ここではInvoices とDeals のテーブルを同期します。ジョブを設定したらSalesforce の場合と同様に実行します。
これで、freee とSalesforce のデータをSnowflake に集約することができます。
3. ディメンショナルモデルを作成
レプリケートしたテーブルをどのように利用するかはユースケースやデータソースによって変わってきますが、ここでは一例としてSalesforce とfreee のデータを結合してディメンショナルモデルを作っていきましょう。ディメンショナルモデルを構築することで、BI などでの分析がぐっと容易になります。
ディメンショナルモデルとは?
いくらデータを統合しても、実際に分析を行ってインサイトを引き出すことができなければ意味がありません。ディメンショナルモデルは、データ収集からデータ分析への障害を最小限にするためのデータモデルです。基本的な設計方法は、分析する上で重要な数値を持つテーブル(「ファクト」テーブル)を中心に据えて、数値を分析する際に軸として使うテーブル(「ディメンション」テーブル)を追加していきます。ファクトとディメンションはID で結合できるようにします。
例えば、Salesforce とfreee のデータを組み合わせてビューを作ることで、顧客名、明細行、支払金額、支払期日、支払のステータス、支払残額などを持ったテーブルを作ることができます。さらに商談用のディメンションを作っておけば、ある顧客とこれまで何回商談を行い、そのうちいくつの商談が成功してどの程度の金額を購入しているのか、支払期日は守られているかなど、売上予測に役立つ分析が可能です。
実際に、以下のようにディメンショナルモデルを設計してSnowflake でビューを作成、さらにPower BI でリレーションシップを可視化してみました。
中央の2つのテーブル(FACT_LEAD, FACT_SALES)がファクトのテーブルであり、リードとセールスに関する数値的な情報をまとめています。さらに、これらファクトテーブルのID に紐づけた分析軸であるディメンションを用意しています。ここでは日付や製品、リードのステータスなどを分析軸として作成しました。一度各ファクトとディメンションのビューをSnowflake 内に作ってしまえば、Sales Ops チームはすでに使用しているツール(今回であればPower BI)やアプリケーションを使って自在にエンドポイントをクエリ、結合して顧客データを分析・レポート化できます。
ノーコード / ローコードでCustomer 360 を実現
CData Sync はノーコードで利用できるため、API コーディングによる面倒な開発なしで顧客データが統合できます。顧客データの360°ビューがあれば、Sales Ops チームは各顧客についてより深く理解することができ、顧客に価値を届け、売上の向上につながる情報をセールスに提供したり、より良い営業戦略を策定できます。
CData Sync は
30日間無償トライアルが利用できるので、今すぐ顧客データの360°ビューの構築を始められます。
こちらから製品スペシャリストによるデモをお申し込みいただくこともできますので、お気軽にご連絡ください!
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